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白濁

 他の大勢と同じくして、中学の時分というのは私も気が狂っているとしかいいようがなかったものであるが、その狂い・惑い・苦しむ最中の深夜、家族が寝静まった家から抜け出し、自らが通う中学校のテニスコートに侵入しては、女子テニス部員が練習時に替わりばんこで座る高台の審判席の座席部に射精をして、この精液が蒸発し雲に留まり、雨に混じって地上に降り注ぐのを思っては、何かしてやったりの気になっていたものであるが、残念なことに私が体液を付着させたい対象である聡明な女生徒諸君は、往々にして雨模様の予報を察知した親御さんが持たせたご立派な傘を用意しており、従って例の悪意混入の雨に触れることとなるのは、野蛮の一言に尽きる雨中強行走破手段を取る阿呆面の男子生徒に限られると決まっている。

 

 これは表現の現場に当てはめることもでき、野外自慰行為に等しいものは、女なんかは相手にもされず、少し頭が足りないような男–––少数の、まるで“気狂い”を模索しているような–––から、とても生産的とはいえないような“ウケ”を有難迷惑で感じ取るだけだ。いつも、いつも、そうだ。虚しくなる。女どもは空模様に敏感で、可愛く装飾がされた折り畳み傘を、でかい缶バッチ付けたリュックサックの中に忍ばせている。そして恐ろしいくらいタイミングよく、それを広げる。

 

 しかし、懲りずに私はこの、涙ぐましい低俗から抜けることができない。そうでないと、やる意味など到底見出せない。今日も、おそらく死ぬまで、楽器屋や貸しスタジオの掲示板に次の文を打ち付けっぱなしにしておくことだろう。

 

「誰か一緒に犯罪しましょう 当方ギター」